ONE BUILDING JOURNAL

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2026.09.18 UP

聴く楽しみ、集う楽しみ。ワンビルから生まれる、2つの音楽カルチャー

秋の気配が少しずつ感じられ、夜には鈴虫の音色が心地よく響く季節。街ではさまざまな音楽イベントが行われ、天神はいっそう活気づいています。ワンビルも9月から10月5日(日)まで「ONE FUKUOKA BLDG. CULTURE MONTH」を展開し、音楽やアートで館内が一段と賑やかに。そんななか今回クローズアップするのは、アナログレコードで暮らしを彩る『Face Records』と、“華金”に行うカルチャーイベントが話題の『THE CAFE by ONE FUKUOKA HOTEL』。アプローチの異なる2店舗から、ワンビル発の音楽カルチャーを紹介します。

一枚のレコードから広がる、手触りのある音に包まれる時間。




 ワンビルの2階にある『Face Records』は、創業30年を数えるアナログレコード専門店。中古盤を中心に、ジャンルを問わず1万枚超のレコードが壁や棚を埋め尽くしています。足を運ぶたびに迎えてくれるのは、昭和歌謡から最新のクラブミュージックまで幅広いジャンルのBGM。聞けば、決まったプレイリストがあるわけではなく、店頭に並ぶ在庫の中から季節や天候、時間帯、店内のお客さまの嗜好性を読み取って、最適な一枚をかけているのだとか。

「『いま流れているのは、どのレコードですか?』とお声がけいただき、そのままお買い上げされるお客さまもいらっしゃいますね。天神界隈はクラブが多い土地柄もあり、お客さまにはDJの方も。使わなくなったレコードを売りに来てくれるので、中古でも新しめのレコードが入ってくるんです」と店長の飯島英大さん。

飯島さん率いる福岡店の選盤の目は、店の外からも頼りにされています。ワンビル1階のフレグランスブランド『ÈDIT(h)』では、店内で流すレコードのセレクトを同店に依頼。さらに、「お店でかけるレコードを選んでほしい」と街なかの美容室やカフェから相談が寄せられることもあるそう。「個人の方でもプレゼント用など、お好みのジャンルや予算に合わせてお選びしますので、お気軽にご相談ください」と心強い存在なので、迷ったときはぜひ声をかけてみて。

シーンや気分で選ぶ、この秋のおすすめ。

せっかくなので、今の季節やシーンに合わせた一押しのレコードを飯島さんに挙げてもらいました。

出かける前に聴きたい一枚:
The Supremes「A' Go-Go」


 外出時など気分をスイッチオンしたいときは、このレコードに収録されている名曲「You Can't Hurry Love」を。「世界のポップ・ミュージック史に刻まれた名曲を収録した、MOTOWNポップの最高峰! 60年ほど前の曲なのに、今聴いてもとびきり可愛くて、お出かけ前のワクワク感にこれ以上合う曲はありません」。

秋の夜長に聴きたい一枚:
Aphex Twin「Selected Ambient Works 85~92」

 ゆったりと過ごしたい夜は、飯島さん自身も愛聴しているというアンビエント・テクノの一枚を。「微細な電子音、シンセサウンドが生む静寂に、美しいメロディとビートが溶け込んだ名作です」。静かに耳を傾けられる質感で、お酒を片手に秋の夜長を過ごすのにちょうどよさそう。

いま注目の一枚:
マイケル・ジャクソン「スリラー」、高中正義「虹伝説」


 映画の影響で問い合わせが増えているというマイケル・ジャクソンの作品。特に「スリラー」は、“人類史上最も売れたアルバム”として有名ですが、発売当時の国内盤の帯付きが人気だそう。もうひとつ注目しておきたいのが、高中さんの作品。シティポップ人気に続く潮流として、いま“日本のFUSION(フュージョン)”が海外で再評価され、若いリスナーには新感覚の音楽として届いているといいます。

MUSIC CITY TENJINにちなんだ一枚:
EGO-WRAPPIN'「Night Food」、NUMBER GIRL「DESTRUCTION BABY」


 今月末行われる音楽の祭典「MUSIC CITY TENJIN」に向けた予習には、メインステージに立つEGO-WRAPPIN'の楽曲を。あわせて、記念すべき第1回に出演した福岡のレジェンド、NUMBER GIRLの音源も手に取って懐かしみたいところ。

針を落とす行為そのものが、日々を豊かにしてくれる。

「スマホがあれば、音楽が一瞬で流れてくるこの時代。レコードは暮らしになくても困らないものだけど、ちょっと時間を作って針を落とす行為そのものが、日常の中のささやかな贅沢だと思います。そんな余裕のある暮らしって、いいなと思うんです」と飯島さん。


朝の身支度や、帰宅後に風呂にお湯をためる間、はたまたコーヒーを淹れるひとときに。LP盤の片面約20~25分の長さがちょうどいい気分のリセットタイムになって、何気ない日々に安らぎや彩りをもたらしてくれる。飯島さん曰く、お気に入りのジャケットを部屋に飾る楽しみもレコードならでは。デジタルでは味わえないアナログの魅力に触れられる、音楽のある暮らし。ぜひお店にふらりと立ち寄って、心踊る一枚を見つけみてください。



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渡辺通りと明治通りが交わる場所に立つ『THE CAFE by ONE FUKUOKA HOTEL』。商業とビジネス、それぞれの流れが行き交うこのスポットで、音楽やアートが交差するイベント「ONE SESSIONS(ワン・セッションズ)」が動き出しています。仕掛け人は、ワン・フクオカ・ホテルのディレクター、東宏輔さん。

「世代も国籍も違う人たちが集まり、出会い、そこから新しい何かが生まれる。そんな場所をつくりたいんです」と語ります。企画の立ち上げにあたり、東さんがバディとして迎えたのが、DJやプロデューサーとして活躍する仲井康浩さん。東京で約20年にわたり音楽業界に身を置き、「サマーソニック」をはじめ大型フェスの現場も踏んできた人物です。培った人脈を生かしつつ、「福岡でしか成立しない化学反応を大事にしたい」と仲井さん。普段は交わらない人同士の接点を探り、地域のつながりから豊かな文化を育てていく。それが、「ONE SESSIONS」が目指すところだといいます。



イベントはジャンルの垣根を越え、DJを軸に、時にはピアノや弦楽器の生演奏が重なり、入口には注目アーティストのアート作品も並びます。SNSを見て初めて訪れる人、通りがかりに音楽に誘われるように立ち寄る人など、さまざまなきっかけで客足が増え、確かな手応えを感じているそうです。そうした反響を受け、開催時間を延ばす動きも生まれているとか。

心地よく響く音楽が、初対面の距離を縮めるきっかけに。

開放感のある空間で良質な音を共有すれば、初めて会った人同士でも不思議と会話が生まれるもの。この日は、国境を越えたコミュニケーションがあちこちで育まれていました。


福岡で起業したというインドネシア出身のTさんと、博多区勤務の会社員のKさんは、たまたま隣り合い意気投合。そこへ、インドネシアポップスを発信するDJ・ばぐーす長谷川さんも加わり、みんなで乾杯。「外の通りから見た印象と、店内の熱気はまるで違う。こうやって国際交流もできて、最高に楽しいです」とKさん。Tさんと一緒に訪れた韓国人の友人たちも、忘れられない一日になったと声を弾ませていたそう。

窓際の席で心地よさそうに過ごすのは、サーフィン仲間という3名の男性陣。前回に続いて2度目の参加だそうで、「かつてクラブに親しんだ世代にとって、落ち着いた空間で質のいい音を浴びられるのはうれしいですね」と語ります。天神という立地に加え、路面のテラス席が開放されているから気軽に参加できて、金曜限定開催というのも仕事終わりの楽しみになっているようです。

ひとつの出会いから、次のステップへ。さまざまなセッションが伝播する場。

「ONE SESSIONS」の本当の面白さは、ステージやパフォーマンスだけで完結しないところ。その場にいる人同士の出会いから新しいセッションが生まれ、次の催しへとつながっていくことも。来場者と主催者の立ち話から「実は音楽をやっていて…」と話が弾み、次回は演者として加わるケースもあるのだそう。



シルバーウィークには、6階で毎週木曜に開催されている「サーズデイ ギャザリング」との連動企画を実施。音楽、アート、ビジネス、コミュニティ。異なるバックグラウンドを持つ人が集まることで、また新たなつながりが生まれていくことでしょう。

「グランドレベル(=天神の路面)を歩くだけで、興味・関心をくすぐるものが目に飛び込み、心地よい音が耳に入ってくる。さらに人との交流も加わって、楽しさやうれしさを感じる人が増えてほしいですね。そうすれば、ワーカーや市民、観光客、インバウンドの方も惹きつけてやまない天神・福岡になっていくはずです」と東さん。最新情報はInstagramで随時発信中。多様な人々が行き交う天神で次はどんな出会いや企画が生まれるのか、これからの展開をお楽しみに。

一枚のレコードを暮らしに迎える楽しみと、音楽を介して人とつながる高揚感。入口は違えど、どちらもワンビルならではの音楽カルチャーです。

きたる9月26日(土)・27日(日)に開催される、天神一帯を舞台にした音楽の祭典「MUSIC CITY TENJIN」では、ワンビルも会場の一つとなってDJイベント「10 TURNTABLES」を行います!

今回紹介した『Face Records』『THE CAFE by ONE FUKUOKA HOTEL』をはじめ、館内の5つの店舗に計10台のアナログターンテーブルを設置し、フロアを巡りながら店ごとに様々な音楽を楽しめます。街の熱気と響き合いながら多彩な催しを続々と行いますので、この機会にぜひ足を運んでみてください。

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Interview & Text & Photo_ Maiko Shimokawa
Edit_ Taku Kobayashi

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