ONE BUILDING JOURNAL

ブログマガジン

2025.12.05 UP

香りを纏うことで、自分を表現する。芳しく美しいセンスの輪郭

香りを身に纏うことは、見えない言葉で自分自身を語るということ。その日の気分や感覚、大切にしている美意識を、さりげなく、それでいて確かな記憶として人の心に届ける表現方法です。年末年始に向けて人と会う機会が増えるこれから、香りを通じて自分らしさを演出してみてはいかが? 前回紹介した新店とともにワンビルに登場した2つのフレグランスショップは、プロダクトに物語や世界観が吹き込まれ、胸高鳴る香りとの出会いを楽しめます。

ミュシャの芸術と感性を“香り”から。世界初公認のフレグランスブランド




19世紀末のパリを熱狂させた芸術家、アルフォンス・ミュシャ。植物や文字、幾何学的なモチーフとともに女性をしなやかに描いた彼の絵画は、アール・ヌーヴォーの代表格として、今なお世界中の人々を魅了し続けています。そんなミュシャの芸術世界を“香り”という新しいかたちで楽しめるのが、ミュシャ財団から世界で初めて公認を受けたフレグランスブランドの〈MUCHA(ミュシャ)〉です。

店内に足を踏み入れると、まるで小さな美術館を訪れたような特別な空気感。アーチを描く空間、光を差すように飾られた「ジスモンダ」の絵画、ミュシャ作品をモチーフにしたフレグランスの数々ーー19世紀末の優雅さと現代的な洗練が調和し、芳しい香りも相まって、日常から離れた胸高鳴る時間をもたらしてくれます。

「ミュシャ作品の魅力は、花を女性に見立てた独特の表現や、華やかでありながら繊細な装飾、そして100年以上前の作品とは思えないほどの現代性にあると思います。だからこそ今も幅広い世代に愛されているんでしょうね」と語るのは、店長の有水さん。実際に、お店には10代の若い世代から年配の層まで多くのファンが来店しているそう。

現在、店頭には11種類の香水をラインナップ。これらはフランスの香水の聖地・グラースで調香され、香りごとに異なる調香師が手がけているのだそう。ミュシャの絵画からおのおのインスピレーションを受けて一つずつ調香。その多様な解釈と創造が、香りの豊かな表現につながっています。

多くの人が「初めてなのに、どこか懐かしい香り」と感じるのは、ブランドが大切にする「記憶や情景を呼び起こす香り」というコンセプトが息づいているから。香りを纏うことで思い出が蘇るように、ミュシャ作品の芸術性を感じながら高貴な気分を楽しめます。

人気の「LILY(リリー)」は、四連作から生まれた百合の香り。清楚でありながら芯の強さを感じさせる、凛とした佇まいが魅力的。一方「GISMONDA(ジスモンダ)」は、ミュシャを世に知らしめた記念碑的作品にインスパイアを受け、ユニセックスに親しめる深みのある香りです。

プチギフトとして人気を集めるのが、12星座をテーマにした保湿フレグランスオイル「ゾディアックサイン フレグランスオイル(6mL)」。自分の星座を選んだり、大切な人の星座の香りを携えるのも楽しみのひとつ。コンパクトなサイズでポーチに忍ばせやすく、気分を高めたい時に使って、お守りのように愛用する人も多いとか。また、ホリデーシーズン限定の香りにも注目を。ラム酒の広告ポスターからインスピレーションを得た、甘く芳醇な香りはクリスマスギフトにもおすすめ。

フレグランス以外にも、ミュシャの作品をプリントしたシルクスカーフ、花をモチーフにしたヘアアクセサリー、絵画をデザインしたメッセージカードなど、ギフトの+αにもぴったりな小物も充実。香水と同じ香りのボディケアやお香、マルチトレイなど、贈る相手を思い浮かべながら選ぶ時間も楽しいひととき。

〈MUCHA〉の香りは日常にときめきと高揚感を与え、自分自身の感性や佇まいを美しく表現してくれます。その香りを纏うことで、アートを愛しむ感覚を楽しむことができ、この先のさまざまな出会いや思いをきっとドラマティックに演出してくれるはず。ホリデーシーズンにぜひ、心に残る特別な思い出を〈MUCHA〉の香りで彩ってください。

-------------------------------

香りで語る、自分自身のアイデンティティ。伝統と格式が息づくフレグランスの世界




1905年創業の老舗朱肉メーカーが、伝統の技術と革新的な発想を融合させて生み出した〈ÈDIT(h)(エディット)〉。旗艦店である東京・神楽坂店に次ぐ直営2号店が、ワンビルの1階にオープンしました。

一見、朱肉と香水はまったく別の世界のように思えますが、実は捺印とフレグランスは“アイデンティティを印(しる)す”という共通項によって結ばれているのです。「朱肉で捺す印が自分を印す証となるように、香りもまた、その人の個性やアイデンティティを表現する大切なエレメント。朱肉づくりの歴史や技術を継承し、纏った香りがその人自身の一部となるよう、一つひとつの香りから佇まいのディテールに至るまで、こだわりを尽くしています」と、店長の梅田さんは語ります。

実際に、伝統的な朱肉づくりの真髄が〈ÈDIT(h)〉のプロダクトに受け継がれています。たとえば、同社が伝統的に練朱肉に使用してきたアジア由来の香料を〈ÈDIT(h)〉全ての香水に共有して入れるなど、素材へのこだわりや、高い品質と技術を追求。デザインモチーフなども再構築し、120年にわたる朱肉ブランドのDNAを現代の感性で“香り”に昇華させているのです。

伝統への敬意と使い手への思いは、香りの成分や調香だけでなく、パッケージの細部にも。ヘアライン加工が施された金属キャップは職人の手仕事によるもので、静謐な重厚感を放ちます。外箱に使用された桐箱も、朱肉づくりで長年共にしてきた技術者たちとの対話から生まれたものだとか。

カウンターに並ぶオリジナルの香水は13種類。人気フレグランスの「Earl Grey(アールグレイ)」は、茶葉本来の香ばしさを大切にした潔い香り。甘さを排した大人の品格が、さりげなく個性を演出してくれます。「Rose Mojito(ローズモヒート)」は、バラの華やかさを残しながらも爽やかさを前面に出した仕上がり。性別や場面を選ばない汎用性の高さが魅力です。新作の「Shiso Reverie(シソ レヴェリィ )」は、日本のハーブである紫蘇を主役に据え、清涼感のある香りに、穏やかな温もりと控えめな華やかさがふわり。

テスターで使用するムエット(試香紙)には、香りの名前がわかるよう朱肉印を押してくれるなど、ちょっとしたところにも〈ÈDIT(h)〉らしさが散りばめられています。



店内では、独自の世界観を体感できる五感くすぐるアプローチが展開され、まさにリアル店舗ならではの醍醐味。ワンビル2階にある『Face Records』とのコラボレーションで、ブランドの世界観に共鳴する楽曲をFace Recordsがキュレーション。ジャズ、ポップス、邦楽、洋楽と、ジャンルレスな選曲がおもしろく、気に入った音盤はその場で購入できるよう準備を進めているそう。

また、人気のフレグランスの香りをイメージしたオリジナルフレーバーティーも販売し、ウェルカムドリンクとして試飲が可能。心をホッと和ませる香りと味わいは、日頃お世話になっている人への贈り物にも喜ばれるはず。

さらに、世界中から厳選したニッチブランドの取り扱いも“ここだけ”のお楽しみ。リトアニアのマルチアーティストが手がけるブランドや、香港の元画家によるフレグランスなど、〈ÈDIT(h)〉直営店および都内一部百貨店でしか手に取れない個性的な香りをぜひお試しを。

ÈDIT(h)〉が大切にしているのは、香りで自分らしさを表現すること。「香りはその人を象徴する個性のひとつで、香水には自分のスタイルや感性、アイデンティティを伝える力があると感じています」と梅田さん。その言葉の通り、纏った香りはその人自身の一部となり、その人の空気感や佇まいを出会う相手の心に刻みます。

ホリデーシーズンや新しい年を迎える特別な日に、自分らしさを香りに託して、大切な人の心に残る“センス”を纏ってみて。香りが織りなす余韻と記憶の情景が、これから先も続く大切な人とのつながりをより豊かに彩ってくれるでしょう。

 ※本記事は2025年11月上旬の取材時点の情報です。掲載商品は時期や在庫により変動する可能性があります。最新情報は各店頭にてご確認ください。

-------------------------------
Interview & Text & Photo_ Maiko Shimokawa
Edit_ Taku Kobayashi



LATEST ARTICLE

新着記事