ONE BUILDING JOURNAL

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2025.06.24 UP

【ONE FUKUOKA FES 前編レポート】堀江貴文×深町健二郎が語る、福岡のポテンシャル

ワンビル内の大規模な体験型イベントとして話題を集めた、「ONE FUKUOKA FES」。3日間にわたり館内各所で行われたこのイベントには、年齢も職業も様々な人が集い、“創造交差点”というワンビルのコンセプトを体現するような熱気に包まれた。そんな刺激と創造がクロスした当日の様子を、これから前編・後編に分けてレポートしていく。まずは実業家・堀江貴文氏と音楽プロデューサー・深町健二郎氏によるトークセッションのハイライトから覗いていこう。

福岡でムーブメントを起こす、パイオニアが語る“福岡のこれから”




「ONE FUKUOKA FES」の告知開始後、参加申し込みにアクセスが集中したトークイベントの数々。特に、堀江貴文氏と深町健二郎氏、それぞれ異なる分野で福岡と深い縁を持つ2人のセッションに注目が集まった。

会場にはビジネスパーソンから友人同士で参加した女性たち、20代の若い世代まで、幅広い層の人々が集合。スタンディング形式のカジュアルな空間でありながら、なかなか間近で見ることのできない2人の登壇を前に、期待と緊張が入り混じった独特の空気が漂う。



「福岡市民として、ワンビルのオープンを待ちわびていました」と語るのは、建設業に携わる50代男性。「我々の世代にも楽しめる場を設けてもらえてうれしいです。街でどんどん面白い取り組みが起こっている中で、自分も何かを生み出したいと思い、今日はそのヒントを得るために参加しました」と、新たなビジネス展開への意欲を滲ませる。



制作関係の仕事に就く50代女性は、「ホリエモンさんがどういう切り口で福岡について語るか気になります」と興味津々。普段から福岡の街を歩く中で感じている、多言語が飛び交うグローバルな活気や、ワンビルの登場で勢いを増す福岡のポテンシャルにも注目しているそうだ。



不動産ディベロッパーで働く20代男性は、「堀江さんのように世界を見ている人が福岡のことをどう考えているのか聞きたくて参加しました。福岡はアジアの玄関口の役割がかなり大きいし、人口も増えて、日本を代表する街に成長している。福岡から世界に発信できるコンテンツがあると、さらに街の成長速度が上がりそうですよね」と福岡の成長への期待感を語ってくれた。

なぜ今、福岡なのか? それぞれが捉える街のポテンシャル




“福岡のまちのポテンシャルとクリエイティビティ”をテーマに、スペシャルトークセッションがついにスタート。まず深町氏が切り込んだのは、東京を拠点としながら福岡への投資を加速させる堀江氏の真意だ。

「もちろん地縁もあるんですけど、福岡のポテンシャルを見込んだ部分も大きいですね」と堀江氏。福岡市の高島市長との対談で天神ビッグバンについて話を聞き、“福岡市の伸び代”を確信したのだとか。それ以降、立て続けに福岡に会社を設立。さらに「次は牛タン屋を作ろうかと」と具体的な投資意欲も明かした。



興味深かったのは、福岡の食文化についての議論だ。「レベルが高すぎです。安くて、うまくて、ホスピタリティがすばらしい」と絶賛する堀江氏だが、「これは福岡の強みであり、裏を返すと弱みでもある」と独自の見解を提示。福岡では当たり前の“高いホスピタリティ”が、他地域への進出時に再現困難な課題であることを指摘し、仮説や打開策を提案した。

一方、深町氏は福岡の文化的な特性に注目。「福岡には『祭り』の文化が根付いていて、その背景が福岡を音楽都市にしたのでは」と分析。アジアに近いことからオープンマインドな人が多く、外からきた人や珍しいモノ・コトも面白がれる気質があり、祭り好きで表舞台に立ちたい人も多い。だからこそ、ミュージシャンや俳優、アイドルなど大物有名人を多数輩出している、と持論を述べる。



深町氏: 「毎年9月頃に1ヶ月間、福岡では5本のフェスが自然発生的に行われるんです。これも他にはない特異な現象。世界の音楽都市が集まるコンベンションで、この『福岡ミュージックマンス』をプレゼンしたら世界各国の皆さんに褒められましたよ。今後も様々なジャンルが垣根を超えて融合する“街フェス”とかが生まれたら、さらに福岡は面白くなりますよね!」

ムーブメントを起こす、次代のプレーヤーへのメッセージ


白熱する2人のトークセッションは、街の成長とともに生まれる新しいプレーヤーたちの話題へ。

深町氏は平成元年、天神エリアの再開発時に若くしてイベントプロデューサーに抜擢され、これを転機に人生が大きく変わったとエピソードを明かす。「次は天神ビッグバンによって街が更新し、各分野から新進気鋭のプレーヤーがどんどん生まれている」と語りながら、福岡を拠点に活躍する人々に向けて、スタートアップの草分けである堀江氏にアドバイスを求めた。



堀江氏: 「僕は思うがままに突っ走るタイプなので、『なにか思いついたらすぐ行動』っていうのが基本のスタイルですね。馬鹿げたことほど、桁違いの規模でやった方がいい。小さくやっても周囲に理解されず終わっちゃうから、やるなら最初からドカンッとやって、人を惹きつけることが大事ですよ」

「バカも天才も関係ない。まずは“これだ!”と思うものに飛び込むんです。その果敢な姿や画期的なアイデアを面白がって、誰かが応援してくれるはず。やる前から『自分なんて…』と諦めるのはもったいない。あなたの後ろについてバックアップしてくれる支援者はきっといるから、とにかく行動すること!」と力強いメッセージを告げ、会場の参加者たちは静かに鼓舞されている様子だった。


最後に、堀江氏が1月に演歌デビューした楽曲「チョメチョメ」を熱唱。観客もサビの振付で一体感に包まれた。

トークセッションの熱は、参加者たちの新たな一歩へ


鋭い洞察力と独自の視点、福岡の未来に向けての熱いエールが飛び交ったトークセッション。堀江氏と深町氏の言葉を反芻するように、終了後に参加者同士で語らう姿も見られた。ここで、会社関係の仲間と参加したという3名にイベントの感想を聞いてみよう。



「堀江さんの活動に興味があってトークセッションに参加しました。福岡でも多数投資されているのは少し驚きでしたが、話題にあがった街フェスが面白そうで、地元を盛り上げて全国に発信していく姿勢にも感銘を受けました」(熊本県在住、30代、鉄道関係)

「仕事ではスモールスタートしがちなんですが、『やるなら最初から大胆に!』という言葉に勇気をもらいました。深町さんの話で、福岡には何ごとも面白がれる人や挑戦する人が多いというのも納得。自分も大きくチャレンジしてみたいです!」(福岡市在住、30代、鉄道関係)

「『思いついたらとりあえずやれ!』という発言が胸に響きましたね。もともと起業志向があるので、業界内で新しいことにチャレンジして、行動に移してみようと思います」(小郡市在住、30代、建築関係)

堀江氏の「すぐに行動を」という激励と、深町氏が語った「なんでも面白がる気質がクリエイションにつながる」という言葉が、九州各地から集まった参加者たちの新たな一歩へと確かにつながろうとしていた。

同時開催、“味覚のコラボレーション”も会場を魅了!




会場の盛り上がりに華を添えたのが、ミシュラン一つ星レストラン『TTOAHISU(トアヒス)』と革新的バー『CITADEL(シタデル)』による一夜限りのフード×ドリンクのコラボレーション。福岡が誇る気鋭のシェフとバーテンダーが、それぞれの創作哲学を込めた特別メニューで“共創”した。



『TTOAHISU』のオーナーシェフ・山下泰史氏(写真左)の話によると、ケータリングは初の試みだったとか。「初めてだからこそ型にはまらず自由に、TTOAHISUらしさを表現しました」と、カクテルとのペアリングを意識しながら、異文化×日本をテーマに独創性あふれるラインナップを展開。米粉生地のトルティーヤに赤味噌と赤ワインで味を整えた牛肉とご飯を包んだメインディッシュ、ラングドシャにサラミを挟んだ甘じょっぱいおつまみなど、ワンビルに合わせて黒を基調としたフードで魅了した。

『CITADEL』のオーナー・小原義満氏(写真右)は、「福岡とアジアをつなぐ」をテーマに、八女茶を用いたカクテルと、福岡ロースターのオリジナルブレンドコーヒーにアジアのハーブやフルーツを合わせたコーヒーカクテルを提供。「カクテルを通してクリエイティブなことを常に表現していきたい。異業種の人たちとの共創から生まれるインスピレーションは、常々大事にしているポイント。感性の刺激で新しいものが生まれるから」と、ワンビルのコンセプト“創造交差点”への共感を示した。



両店のコラボによって織りなされた“味覚の共創”は、トークセッションと並行して会場に特別な彩りを添え、参加者たちの五感にも美しい刺激を与えたことだろう。






同日「ONE FUKUOKA CONFERENCE HALL」でも、"共創”をテーマにしたトークセッションを開催。各分野の第一人者が集い、まちづくり、組織づくり、地域連携など、共創を通して生まれる価値や未来について様々な構想やケーススタディが語られた。

今回のトークセッションだけにとどまらず、「ONE FUKUOKA FES」では他にも多彩なイベントが館内各所で繰り広げられ、クリエイティブで賑やかな時間に包まれた。後編では、ワークショップやエキシビション、音楽イベントなど、多様なコミュニティコンテンツから生まれた“創造交差点”の様子をレポートする。

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Interview & Text_ Maiko Shimokawa
Edit_ Taku Kobayashi

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