MEETS DIFFERENT IDEAS, LIFE×ART×CULTURE×BUSINESS×IMAGINATION×CO-CREATION. 

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ONE FUKUOKA PROJECT.

Xto1 PROJECT vol.6

音楽家・糸山晃司×街のノイズ 天神の個性と
音楽が融合する、新たな施設音楽のアプローチ

OUTLINE

施設や空間づくりにおいて、欠かせない要素のひとつが音楽だ。ONE FUKUOKA BLDG.(ワンビル)では既存の音楽ではなく、オリジナルの音楽が空間を彩る。新たなビジネスや文化が生まれる「創造交差点」。そんな空間に流れる音楽のあり方は? そしてふさわしい音楽とは?音楽家・糸山晃司さん、音楽と映像の制作会社「音と映像」、そしてワンビルの三者が出会い、これまでにない音の世界の創造が始まった。

BACKGROUND

ワンビルが目指す館内音楽のアプローチ、それは「新しい音楽体験の提供」だ。そのコンセプトにぴったりなのが、糸山さんの「アンビエント音楽」だった。街や野山で収集した音をもとに楽曲制作を行う糸山さんの音楽は、既存のポップスやバンドサウンドとは趣を異にするもの。この糸山さんの音楽をメインに据え、開店放送や閉店放送などにもアレンジしていく。完全オリジナルの音楽制作はワンビルにとってもチャレンジングな取り組みだ。完全オリジナルの音楽制作はワンビルにとってもチャレンジングな取り組みだ。

PROGRESS 01

聞く人がいて初めて完成する音楽。 気鋭の環境音楽家が紡ぐ「余白の美」

偶然は必然へ。一通のメールから始まった音楽制作

筑後市にスタジオをもつ糸山晃司さんは、街や身の回りにある「環境音」を取り入れて楽曲制作を行う音楽家だ。これまでに映画やCM音楽、またホテルなどの空間音楽を多数手がけてきた。

そんな糸山さんのもとに、9月、一通のメールが舞い込んだ。差出人は音楽と映像の制作会社「音と映像」の井上啓輔さん。新たに開業するワンビルの館内音楽を、ぜひ糸山さんと一緒に手掛けたい。ビルに入った瞬間に空気が変わるような、ふわりと包み込まれるような…そんな、これまでにない音楽体験を提供してみたい、と熱く書かれていた。

糸山さん:「突然のメールに驚きましたが(笑)、とてもうれしかったですね。僕は大学時代から20代後半まで福岡に住んで、天神ビブレでライブもしていましたから。思い出が詰まった天神で新たに開業するビルの音楽に携わらせてもらえるなんて、とても光栄なことです」

音楽家の糸山晃司さん。高校時代からバンドを始める。ミスターチルドレン、レディオヘッド、坂本龍一など、ポップス、ロックから現代音楽まで幅広く聞いてきた。

実は井上さん、糸山さんのことは知人づてには知っていたが、面識はなかった。

井上さん:「ワンビルに提案する音楽の企画書を練っていた9月、糸山さんが福岡で個展を開催されると聞いて、その前後含めた活動を興味深く追っていたんです。音楽を聞いて『これだ!』と。糸山さんの音楽は芸術性が高く、映画音楽などのフィールドで活躍されている方なので、引き受けていただけるか、ドキドキでした(笑)」


「音と映像」の井上啓輔さん。糸山さんの作る音楽の調整や設備面を担う。

糸山さん:「実は同時期に、ある映画音楽の制作が決まっていて、スケジュールが重なってしまうな、どうしようと思っていたんですが、その映画制作が延期になりまして。それで晴れて受けることができたんです」


井上さん:「これはもう運命ではなく、必然だったということですね(笑)」



施設全体に溶け込み、融和する 創造交差点を体現する音空間

井上さんと糸山さんがタッグを組むことは決まった。企画書を書き、サンプル音楽も完成。
それを受け取った西鉄の天神開発本部・福ビル街区開発部 開業準備室担当の平 知佳さんもまた、糸山さんの音楽を聞いて「これだ!」と思ったと言う。

開業準備室担当の平知佳さん。「企画書を拝見してすごくワクワクしました!」と語る。

平さん:「一般的な商業施設でかかっている音楽とはまったく違う。すごく新しいなと思いました。ある人には美しく響き、またある人には癒しを与える。聞く人によっていろんな感じ方ができる音楽。もしかしたら聞こえない人もいるかもしれない。それくらい人に、空間に溶け込む音楽だなと」


井上さんはそれを、「余白の美しさ」と表現する。

井上さん:「完全にできあがっている音楽ではない、聞く人に想像や解釈の余地がある音楽なんですよね」

糸山:「ありがとうございます。それは僕も目指しているところで、今回の音楽も、ビルが開業してテナントやお客さまが入って、聞く人がいて初めて完成する、そんな存在でありたいと思っています」

井上:「商業ゾーンからオフィスフロアまで音楽を流すというのは斬新な取り組みだと思います。ワンビルは多彩なテナントが集まる場所。それらが融和するような音空間になるといいですね」

平:「それはまさに創造交差点のコンセプトにぴったりですね!」



やさしく響き、心を癒す 無数の音が奏でるゆらぎが環境音の魅力

街や野山に出かけ、さまざまな「音」を収集して音楽をつくるのが糸山さんの制作スタイル。今回は特に「天神」の音にこだわり、雑踏の中や公園、高架下など、あらゆる場所でフィールドレコーディングを行っている。

糸山:「ワンビル建設中の金属音や、天神上空を飛ぶ飛行機の音なんかも収集しました。これらの音はいいスパイスになりそうです」

井上:「私もフィールドレコーディングに同行させてもらっていますが、その光景も面白いんですよ。音を採る糸山さんが完全に街の風景に同化していて(笑)」

平:「街の音がどう生かされてどんな音楽になるのか、とても楽しみです」


糸山さんがフィールドレコーディングに使用するレコーダー。

環境音にこだわる理由を、糸山さんはこう語る。

糸山:「現代の音楽って西洋のドレミファソラシドの音階で作られているものがほとんどですが、自然の音はドとレの間にも無数の音がある。フィールドレコーディングで集めたそんな偶発的な音を取り入れることによって、音楽に生命感が宿る。その有機的な感じが好きなんです。今回はそれプラス、思い入れのある天神であり、地域の特性や歴史という文脈もある。まさに今の自分の集大成的な音楽になると感じています」


糸山さんと井上さん、そしてワンビル。
これ以上ないタイミングで三者は出会い、響き合った。
音楽の街・天神に、創造交差点から未だ見ぬ新しい音の世界が広がろうとしている。

TO BE CONTINUED

プロジェクトは今も進行中です。
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