MEETS DIFFERENT IDEAS, LIFE×ART×CULTURE×BUSINESS×IMAGINATION×CO-CREATION. 

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ONE FUKUOKA PROJECT.

「レミさんち」店主 レミさん

福岡の屋台文化が人生を変えた!
レミさんの挑戦と夢の実現

福岡の屋台文化に魅せられたフランス人、レミさん。初めて日本を訪れたのは1999年。3日間の滞在予定が、福岡の街や人に心を奪われ、気づけば3カ月を過ごしていました。2001年には念願の福岡移住を実現。複数の仕事を掛け持ちしながら経験を重ね、2011年には自身の店をオープン。その後、夢だった屋台開業が可能になる公募制度に挑戦し、2017年には天神のすぐそばに屋台『レミさんち』を開業しました。地元の人と旅行者を繋ぎ、福岡のファンを増やし続けるレミさんに、福岡や屋台への想いを伺いました。

PROFILE

「レミさんち」店主

レミさん

1976年、フランス・ノルマンディ出身。フランスの調理専門学校で学んだ後、1999年に旅行で日本を訪れる。当初は3カ月で日本各地を巡る予定で、明太子が好きという理由で福岡からスタートしたものの、気づけば全ての日程を福岡で過ごすことに。日本に住むなら福岡だと考えるようになり、2001年福岡へ移住。福岡市内のベーカリーやチョコレート専門店、カフェ、バーなどで働き、2011年、福岡市南区にフレンチ居酒屋を開業(現在は閉店)。2017年4月、屋台「レミさんち」をオープンさせた。

初来日で福岡に魅了され、
3日間の予定が3カ月の滞在に!

初めて日本に来たのは1999年、23歳のとき。3カ月かけて福岡から北海道まで北上する予定でした。福岡をスタート地点に選んだ理由は、明太子が好きだったからです。福岡には3日間滞在する予定で、最終日は屋台にラーメンを食べに行きました。屋台では、お店の方やほかのお客様との距離が近く、すぐに仲良くなり、気がつけば朝まで飲み明かしていました。奇しくもこの日は、福岡ダイエーホークス(現福岡ソフトバンクホークス)が、球団創設11年目で初のリーグ優勝を果たし、福岡の街はお祭りムード一色。

この1年前、フランスで開催されたサッカーのワールドカップでフランスが初優勝したときの熱狂と似た空気を感じ、福岡の街が大好きになったことを覚えています。その熱気や活気に触れ、自分もその一部になった気がして嬉しかったですね。最初に訪れた都市で好きな街に出合えたことは、とてもラッキーでした。この経験がきっかけで、結局福岡で3カ月を過ごし、そのままフランスに帰国しました。

福岡移住後、さまざまな経験を経て、ついに屋台「レミさんち」をオープン!

フランスに帰国後、シェフやパティシエとしての経験を活かし、日本人に料理を教えていました。2000年に再来日し、東京などを訪れましたが、福岡を超える街には出合えませんでした。そして2001年、念願の福岡への移住を果たし、「ダムドフランス」でアルバイトを経験した後、昼は「バルミュゼット」、夜は「ラタフィア」、深夜は中洲のバーと、掛け持ちで働く日々を送りました。3倍の経験を積みながらお金も貯まり、自分の店を持ちたいという目標に向かって全力で頑張っていました。その後もいくつかの飲食店で経験を重ね、2011年、ついに「メルシー博多」をオープン。もともと屋台をしたいという思いはありましたが、当時の屋台は世襲的な引き継ぎが慣習化しており、新規参入は非常に難しい状況でした。それから数年後、屋台が公募制になるという情報を耳にし、外国人にとってハードルが高い日本語での書類作成にも挑戦。見事、第1回の公募に合格し、2017年4月、屋台「レミさんち」をオープンさせることができました。

変わりゆく天神を見つめて20余年。今、私が思うこと

福岡で暮らし始めてから、すでに20年以上が経ちました。当時から天神はよく遊びに来る街で、天神地下街や新天町は雨でも楽しく過ごせる点が気に入っています。イムズや福ビルのビアガーデンなどにもよく足を運びましたね。当時、イムズには国際交流センター「レインボープラザ」があって、外国人と日本人の交流が盛んに行なわれていました。百貨店の食品売り場では、大好きな明太子の試食を楽しんだこともあります。イムズや福ビルが今はもうないことに、少し寂しい気持ちを覚えます。天神は九州でいちばん大きな街でありながら、広い空が見えて、のんびりできる公園もあるところも気に入っています。福岡の人々は温かく、大きな街でありながら、ストレスを感じることが少ないように思います。天神中央公園から眺めるアクロス福岡のステップガーデンは、木々が成長し、山のような雰囲気が出てきました。現在、天神エリアは急ピッチで再開発が進んでいますが、地元・福岡の人々にとって、日々が豊かになるような開発が行なわれてほしいと願っています。

一期一会をテーマに、福岡のファンづくりと屋台文化の継承に取り組む

屋台「レミさんち」のコンセプトは“一期一会”。私が20年以上前に初めて旅行者として福岡を訪れたときのように、地元の人と旅行者とが気軽に繋がれる場にしたいと考えています。手づくりの美味しい料理を提供することはもちろん、「レミさんち」を訪れてくれた人に、福岡の街を好きになってもらいたいという気持ちが強いですね。そのため、屋台という場を越えて、お客様を福岡の街や郊外に案内することも少なくありません。冬は糸島の牡蠣小屋が定番ですね。一方、屋台文化も発展を続けることが求められています。屋台は5年ごとに更新が必要で、「レミさんち」も3年後には2度目の更新時期を迎えます。そのときに、どうなるかはまだ見えていませんが、これからも福岡の屋台文化を継承しながら、一人でも多くの福岡ファンを増やしていきたいと考えています。屋台の公募制度は現在も継続していますし、これまでにはなかった新しい屋台の登場にも期待しています。

「レミさんち」は連日行列ができるほどの大盛況。全国各地から訪れる旅行者を中心に、一期一会の出会いが生まれています。レミさんが屋台に込める思いは、初めて福岡を訪れたときの感動を、多くの人たちに味わってほしいということ。そして、福岡の屋台文化を未来に繋ぐため、これまでになかった新しい屋台の誕生にも期待を寄せています。さらに、今後はゲストハウスの開設を視野に入れているとのこと。福岡ファンを増やし続けるレミさんの挑戦は、これからも続いていきます。